もうひとつの万物理論

重力は張力の反作用であるという事実から宇宙の仕組みを考える

9 振動エネルギーについて

 

9-1 はじめに 

 物質について考えるとき、先ず、その構成要素を、躯体とエネルギーに分ける必要があると思われます。何故なら、それらは器と能力という点で根本的に異なる要素であり、同列に扱うべきではないと考えられるからです。

 そして、物質の躯体の主となる要素が陽子や中性子であり、性質やエネルギーに大きく関わっているのが主に電子であることに異論は無いと思います。

 さらに、物質の躯体としての挙動に関する部分は古典力学の範疇であり、エネルギー(電子や光などの)の働きに関する部分は所謂量子力学的考え方の範疇になるのではないかと思います。

 原子核にもエネルギーは蓄えられていると考えられますが、それは、原子核が容積と密度をもって存在することによって外部から与えられるエネルギーであると考えられますので、ここでは割愛します。

 これまでは、主に物質の躯体にかかる部分について古典力学に基づいて考えてきましたが、更にもう一歩、ミクロの世界に足を踏み込んでみたいと思います。

 

9-2 電子における粒子と波動の二重性について

 電子が、粒子であると同時に波としての性質を有していることはよく知られています。

 これは、電子がエネルギーそのものではないこと、つまり、電子自体が振動しているのではなく(振動しているかもしれませんが)、電子という容積と密度を持った物質が、振動エネルギー(電磁波)を発していると考えられるのではないでしょうか。

 電子そのものは非常に小さな粒子ですが、物質ですから、古典力学に基づけば、外部からの力や自ら発するエネルギーによって一つの方向性をもって移動しようとし、他の物質に衝突して跳ね返されたり透過しながら、例えば陽子に引き付けれたり吸収されるまで、どこまでも直進しようとするのではないでしょうか。そして、その電子から発せられる電磁波が、その電子の動きとは無関係に、そこから放射状に光速で拡がっている。

 そう考えれば、有名な二重スリット実験の実験結果は何も不思議なものではなく、むしろ電子の特性をよく表していると言えるのではないでしょうか。

 その意味で、電子は物質とエネルギーの両方の性質を有している特殊な物質であると言えるでしょう。


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9-3 波や音波と電磁波の決定的な違いについて

 光が電磁波という振動であることは既に知られています。

 振動とは、一定の幅と周期をもった振幅エネルギーであり、例えば水面を伝う波(うねり)や空気を伝う音波も振動の一つです。

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 波や音波は、一定のテンションを持つ柔軟性のある物質の集まりが、外部から加えられた瞬発的な力によって一時的に変形し、それが元に戻ろうとする反動によって生じる振幅運動(運動エネルギー)の繰返しによって伝播する際に生じる物質の波打つ様を指すのであり、その運動エネルギーは摩擦や拡散によって徐々に減滅しながら発生源から放射状に(波は水面上を、音波は大気中を球状に)拡がり、遮蔽物に吸収され、反射され、回り込みながら、最終的に消滅するか、何処かに到達して解き放たれます。その結果として波は海岸に打ち寄せ、その力を利用して私たちはサーフィンを楽しみ、音波が他の物質や人の鼓膜を振動させることによって、私たちはそれを音として認識しているのです。

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 一定のテンションを持つ柔軟性のある物質の集まりである必要性は、例えばプールに「張られた」水は、地球の重力によってプールに押し付けられつつ、張力によって引き伸ばそうとされることによって張られ、その状態となって初めて波を伝達し得る状態となるのであって、それは海水や空気も同じです。また、例えばフライフィッシングのフライラインがロッドから発せられたエネルギーを伝達するのは、ラインが一定のテンションを保っているからであり、それが極端に弛んでいたりぐしゃぐしゃになっていたら伝達されないからです。

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 一方の電磁波がそれらと決定的に異なるのは、それが「物質が外部から与えられた力によって波打つ様」ではなく、「振動エネルギーそのもの」であるという点にあります。

 電磁波は、その発生源から発せられた振動エネルギーが放射状に(つまり球状の波動となってあらゆる方向へ)拡がり、遮蔽物に吸収されるか、反射し、回り込み、或いは透過するなどして、光速で、何処までも伝わろうとします。

 例えば、恒星という光源から放たれた光という振動は放射状に拡がってゆくため、その振動が届いている範囲内であれば何処からでも、その恒星を光として見ることができる訳です。

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 太陽から放たれた振動エネルギーも放射状に拡散し、そのほんの一部が地球に届き、私たちはそれを浴びていることになります。そして、ある特定の波長の振動や、それが反射した振動を私たちは光(景色)として目で捉え、また、ある波長の振動が肌に吸収されることによって熱を感じ、またある波長の振動によって私たちの細胞の一部が破壊されているのです。

 そして、太陽から放射線などの物質が放出され、それが地球に降り注いでいるかどうかはまた別の話ということになります。

 

9-4 光が粒子ではない理由について

 光電効果によって光が電子を弾き飛ばすからといって、それが粒子であると結論するのは早計でしょう。何故なら、振動というエネルギーが物質に与える影響は決して小さくはないからです。

 例えば、ある波長の電磁波は物質を揺さぶることによって熱することもできるし、その物質を破壊することも貫通することもできます。

 そして、もし光が粒子だとすると、この地球上は光速で突き進む微粒子が際限なく降り注ぎ、私たちは、明るい間中、絶えずその粒子を浴び続けていることになります。もしそうだとすれば、生物が受ける健康被害は無視できないのではないでしょうか。

 またその場合、この地球上だけではなく宇宙空間全体が光の粒で充満していることになってしまいます。

 そして何よりも、光という電磁波は遮蔽物に簡単に吸収され、反射されてしまいます。もし光が微細な粒子であるなら、そのようなことには決してならないでしょう。

 これらの理由によって、光は振動というエネルギーであり、粒子ではないと言えるのではないでしょうか。

 

9-5 光の速度が普遍である理由 について

 光は電磁波という振動エネルギーであり、波や音波は、運動エネルギーが質を伝達する様であるのは先に述べたとおりです。

 つまり、光がエネルギーそのものであるのに対し、波や音波は運動エネルギーの伝達に伴う物質の動きを指すのであり、それらは根本的に別のものであるため、全く同列に考えることはできません。

 その伝達速度も、波や音波は媒介する物質の性質と、更に波は波長にも影響を受けますが、電磁波は、物質の有無、振幅、波長に関係なく、速度は一定です。

 しかし、その特殊な動き(伝達の仕方)から、何れも波としての特性を有していると言えます。

 そのエネルギーの発生源が移動している場合について考えると、例えば船の移動によって生じる波は、その水の粘度や波長なりの速度で水面上を放射状に拡がり、船の速度が上がるに連れて、その進行方向側の波の波長は詰まって短くなり、船が波の速度を超えてしまうと、その船の舳先から先に波は発生しない、つまり、波だけが置いてきぼりにされてしまう結果となります。

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 大気中を飛行する飛行機の発する音波も、その大気の温度や湿度なりの速度で放射状に拡がり、飛行機の速度が上がるに連れて進行方向側の波長が詰まって短くなり、その速度が音速を超えてしまうと音波だけが取り残され、後から遅れて伝わることになります。

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 つまり、波も音波も、その発生源の速度に影響を受けることはないのです。ただし、地球そのものの移動速度を考慮した場合における絶対速度となると別の話になりますが、ここでは割愛します。

 それに対して、物体は、外部から加えられたエネルギーによって、ある一つの方向へ移動しようとします。そして、その移動速度は、その外部から加えられるエネルギーに依存するため、例えばそのエネルギーを加える装置(エネルギー源)が移動していれば、その速度や方向性についてまともに影響を受けることになります。

 物体に託されたエネルギーの移動と、振動エネルギーの伝わりは、その伝わり方も方向性も全く異なるのです。

 そして、光の伝達速度が、その発生源の移動速度に影響を受けるかどうかについてですが、それが波としての特性を有していることや、その発生源の移動に伴う光の波長に赤色変異が見られることを考えると、当然に、影響を受けないと考えるべきでしょう。

 また、光が波である以上、その速度が、発生源の速度に影響を受けないとしても、それは古典力学に反したものではないのです。

 ただし、この宇宙空間そのものが移動している場合の絶対速度についてはその限りではありませんが、ここではそれに触れないこととします。

 

9-6 光が真空でも伝わる理由について

 蛇足ですが、光などの電磁波が媒体無しでも伝わるのは、それが、エネルギーそのものだからです。